Tagami T, Matsui H, Horiguchi H, Fushimi K, Yasunaga H.
Antithrombin and mortality in severe pneumonia patients with sepsis-associated disseminated intravascular coagulation: an observational nationwide study
J Thromb Haemost 2014;12(9):1470–9.(Journalへのリンクはこちら)
背景:
敗血症性播種性血管内凝固(DIC)に対して、アンチトロンビン製剤の投与の有用性は議論のあるところである。
目的:
重症肺炎に伴う敗血症性DIC患者に対して、アンチトロンビン製剤投与と予後の関連を明らかにする。
方法:
DPCデータベース(2010年7月から2013年3月)を用いて、傾向スコア法(傾向スコアマッチングpropensity-matched、傾向スコアでの重み付けinverse probability-weighted)及び操作変数法(病院のアンチトロンビンの使用パターンを操作変数として使用)による解析を行った。主要評価項目は、28日予後である。
結果:
重症肺炎に伴う敗血症性DIC患者(n = 9075)を、アンチトロンビン使用群(AT群, n = 2663)と非使用群(control群, n = 6412)に分けた。傾向スコアマッチングを行い、2194ペアが選定された。いずれの解析においてもアンチトロンビン使用群の方が予後良好であった。傾向スコア解析:AT群 vs. control群:unmatched, 40.8% vs. 45.7%; propensity-matched, 40.6% vs. 44.2%; inverse probability-weighted, 41.1% vs. 45.1%)。操作変数法:アンチトロンビン製剤の使用は、非使用と比較して、9.9% (95% CI 3.5–16.3) の死亡率減少と関連がある。
結論:
重症肺炎に伴う敗血症性DIC患者において、アンチトロンビン製剤投与は28日予後改善と関連する可能性が示唆された。多国間研究が必要である。