Isogai T, Yasunaga H, Matsui H, Tanaka H, Ueda T, Horiguchi H, Fushimi K.
Out-of-hospital versus in-hospital Takotsubo cardiomyopathy: analysis of 3719 patients in the Diagnosis Procedure Combination database in Japan.
Int J Cardiol 2014;176(2):413-7.(Journalへのリンクはこちら)
背景:
たこつぼ型心筋症(TC)は、一般的に病院外での精神的または身体的ストレス事象後に発症することが多いとされるが、入院後の病院内で急性疾患に引き続いて発症することも時に認められる。院外発症TCと院内発症TCの患者背景や院内転帰を調査した先行研究はない。
方法と結果:
DPCデータベースを用いて、2010年7月から2013年3月の間に入院し、入院中に冠動脈造影検査を受けているが血行再建術は受けていないTC患者を同定した。その上で、the modified Mayo Clinic criteriaに基づいて、心筋炎と褐色細胞腫の患者を除外した3719例を対象とした。対象患者を3300例の院外発症TC群と419例の院内発症TC群に分けて比較した。先行研究に倣って、TCの関連する併存疾患をICD10コードにより同定した。院内発症TCと院外発症TCの2群間で年齢に有意な差は認めなかった(74.2 ± 10.9 歳 versus 73.4 ± 11.3歳, p = 0.211)が、院内発症TC群では男性の割合が高かった(31.3% versus 21.3%, p<0.001)。また、院外発症TC群に比べ、院内発症TC群はいくつかの慢性疾患と急性疾患を入院時に併存する割合が高かった。院内死亡率は院内発症TC群で有意に高値であった(17.9% versus 5.4%, p<0.001)。多変量ロジスティック回帰分析で患者背景を調節後も院内発症TCは高い院内死亡率と有意に関連していた(調整後オッズ比 2.02; 95%信頼区間, 1.43-2.85; p<0.001)。また、悪性疾患、慢性肝疾患、リウマチ疾患、敗血症、肺炎、脳血管障害、急性腎不全、急性胃腸疾患(胃腸穿孔および腹膜炎)も高い院内死亡率と有意に関連していた。
結論:
院外発症TCに比べ、院内発症TCはより重篤な臨床背景とより不良な短期予後と関連していた。本研究の結果から、入院患者においても、併発する心疾患としてTCを念頭に置き、早期診断・治療に努めるべきであるといえる。