SPH7期生・小田切啓之氏の論文がEndoscopyに掲載されました。(ここをクリック)
日本語要旨
【背景】
バルーン内視鏡は小腸観察に対して有用性が確立されたモダリティーである。しかしながら、内視鏡検査にはときとして重篤な合併症である消化管穿孔が生じることが知られている。
【目的】
診断目的のバルーン内視鏡検査における消化管穿孔のリスク要因を同定することを目的とした。
【方法】
DPCデータベースを用いて2007年7月から2013年3月までの間に診断目的のバルーン内視鏡検査を施行された全患者を抽出した。化学療法による穿孔の可能性を考慮し、消化管悪性リンパ腫の患者は除外した。外科手術を要する消化管穿孔を主要アウトカムとし、ロジスティック回帰により消化管穿孔と関連する要因を検討した。
【結果】
解析対象は総計29,068例であり、このうち消化管穿孔は32例(0.11%)認められた。単変量解析の結果、診断目的のバルーン内視鏡検査に伴う消化管穿孔のリスクはステロイドを使用している炎症性腸疾患患者で最も高く(オッズ比8.55 95 %信頼区間 2.87-25.5 p<0.001)、また炎症性腸疾患、ステロイドの使用はそれぞれ単独でも穿孔のリスクと考えられた。
【結論】
バルーン内視鏡による消化管穿孔のリスクについて検討した。本研究結果は、バルーン内視鏡検査前のリスク評価として有益な情報であると考えられる。
Odagiri H, Matsui H, Fushimi K, Kaise M, Yasunaga H.
Factors associated with perforation related to diagnostic balloon-assisted enteroscopy: analysis of a national inpatient database in Japan.
Endoscopy 2015;47:143-6.