博士課程1年・山名隼人氏の論文がThe International Journal of Tuberculosis and Lung Diseaseに掲載されました。(Journalへのリンクはこちら)
日本語要旨
背景:
多剤併用の標準治療が存在するにもかかわらず、入院を要する結核患者の死亡率は高い。
目的:
本研究は、急性期医療を必要とする結核患者について記述し、在院死亡と関連する因子を明らかにすることを目的とした。
方法:
DPCデータベースを用いて、2010年7月から2013年3月の間に参加病院より退院した喀痰塗抹陽性肺結核の患者の情報を抽出した。患者背景、併存症、入院中の処置、治療について記述し、多変量ロジスティック回帰分析により在院死亡と関連する因子を特定した。
結果:
877例の患者が抽出された。平均年齢は74.5歳であり、566例が男性であった。152例(17.3%)が入院中に死亡していた。イソニアジド、リファンピシン、エタンブトール、ピラジナミドを用いた標準的4剤治療は279例(31.8%)に対して行われ、ピラジナミドを除いた3剤治療が335例(38.2%)に対して行われていた。多変量解析では、4剤治療と比較して3剤治療が在院死亡と関連していた(オッズ比1.87、95%信頼区間1.07–3.27、p=0.028)。その他で死亡と関連する因子として、年齢、男性、喫煙習慣、緊急入院、認知症、呼吸状態が挙げられた。
結語:
急性期医療を要する肺結核患者について、在院死亡のリスク要因を特定した。3剤による治療は死亡と関連しており、治療法の選択が転帰に影響することが示唆された。
Yamana H, Matsui H, Fushimi K, Yasunaga H.
Treatment options and outcomes of hospitalized tuberculosis patients: a nationwide study.
Int J Tuberc Lung Dis 2015;19:120-6.